油圧ショベルに乗った王子様~ノーブルな土木作業員は元気娘を愛でる~
「璃世。
じゃあ、続きから教えるけど」

「あっ、はい!
お願いします!」

私の席へと椅子を引き寄せている、渡守さんに返事をする。
作業員さんたちは大掃除だが、渡守さんは私に、経理ソフトの使い方をレクチャーしてくれていた。

「それで、こう。
わかったか?」

「えーっと。
一回自分で、やってみていいですか?」

「うん」

パソコンの前を譲ってもらい、メモを片手にひとりでやってみる。
が、ほどなくして詰まった。

「その、ここって……」

さっき教えたと怒られるのかなと思いながら、おそるおそる聞いてみる。

「ああ、そこは……」

けれどすぐに渡守さんは、何事もないかのように教えてくれた。

「焦らず、覚えていったらいいよ」

そういって笑う彼が神様に見えてしまうのは、やっぱり前の会社の反動だろうか……?

今日は休憩に、社長がドーナツを買ってきてくれた。
コーヒーを淹れて、みんなで食べる。

「ノブはちゃんと教えてくれてるか?」

年配の作業員さんのひとりが聞いてきた。

「はい、ちゃんと教えてくれてます」

笑ってそれに答える。
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