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席替え


"本日、○○・○○地方の梅雨入りが発表されました"

「はぁぁぁ〜〜、、、」

朝食を食べながら朝のニュースのその予報に大きなため息を漏らした。


「何よ〜もう、朝からそんな大きいため息。幸せ逃げても知らないんだからね〜」


呑気にそんな事をいう母を見てまた小さくため息をつく。

人の気もしらないで…誰のせいだと思ってんだ!なんて心の中で思いながら一気に朝食を口に流し込んだ。

「行ってきまーす」

傘を持って玄関の外へ出ると、生憎の大雨。

通学中の学生達の負の感情が嫌でも耳に入ってくる。

「今日から梅雨だってー。雨まじ最悪ーー」

「もう!雨本当に嫌い!せっかく前髪アイロンしたのに!」


誰も私の事なんて知りもしなければ興味もない。そんな事は分かってる。
だけどこの名前のせいで勝手に自分を否定された気持ちになる。


新山愛芽(ニイヤマ アメ)。「飴玉みたいでなんか可愛いな〜と思って♪」なんて、天真爛漫な母によってつけられたこの名前。


確かに飴玉がなんか可愛いのは分かるけど、日常生活において圧倒的に登場する事の多い雨のイメージには負けるに決まってる。


特に梅雨のこの時期は毎年悪意の無い否定を浴び続ける。さすがにもう慣れたけど……

こんな皮肉に思ってしまうのもそもそも私のネガティブな性格のせいであって、もし私が可愛くて明るくてクラスの人気者だったりした場合はこんな風に思う事も無かったんだろうな、、、と思ったりもする。

母の思惑通り、飴玉みたいで可愛いなんて思えたのかな…なんて。
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