好きだから
「おう琉莉」

クラスメイトの奴らが口々に挨拶をしてくる。

「琉莉君!!おはよう」

「ナッ早和幸さん酷い!私が一番最初に挨拶しようとしてたのに...」

別に誰が最初に挨拶してきても良いんだけどなぁ。というか、そもそも挨拶をしなくてもいい。

僕が入ると自分の席へ行くのも困難なほどの女子が近づいて来る。それをうまいことかわすのも、慣れっこになるものだ。

「琉衣さんと手をつないだってホント?」

「ねぇ無視しないでよ」

僕の恋愛に興味があるのか。うーん?理解不能だな。

鞄を机に置き、教科書をしまう。その学生から見たら何てことない、何千回も繰り返す行動の真っただ中。

それでも目をキラキラさせてこっちを見てくる。

鬱陶しいので本を出して読書に勤しむことにした。

それでも「ねぇ?何の本?」

「難しい本だね、凄い!」

「その本の内容教えてよ、ぜひカフェかどこかでさぁ」

「カフェ?」

「うん♡あ、カフェ知らない?」

「いや、知ってる」

「あ、じゃあさじゃあさ、お気に入りのカフェ教えるよ?一緒に行こぉ」

「行かない」

「そういや前、琉加先輩がいたなぁ」
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