【完結】婚約破棄は計画的に。
婚約破棄は計画的に。 5話
「エミリアさま。婚約者のいる異性に胸を押し付けるなとか、わざとらしく被害者ぶるなと、わたくし……きちんと忠告しましたわよね? それなのに、グレアム殿下とそういう仲になっているのですから……あなたたち、自分の気持ちしか優先できないのですか?」
呆れたような言い方をしてしまった。……いや、実際呆れてはいるのだけど。
「貴様! エミリアをいじめていたのか!」
「いじめ? 忠告しただけですわよ。殿下はご存知ないかもしれませんが、エミリアさまは婚約者のいる異性だけを狙って、アプローチしていたのですから」
ばっとグレアム殿下がエミリアに顔を向ける。彼女はますます顔を青ざめさせた。
エミリアに声をかけられた男性の婚約者たちが、わたくしの近くに集まってきた。それに気付いて、エミリアはむっとしたように唇を尖らせる。
「まぁ、中にはそんなエミリアさまを嫌う男性もいらっしゃるようですが……」
ぽそりとつぶやく。前世でどうしてこの恋愛小説を読んでいたのか――自分の気持ち優先なヒロインとヒーローは正直どうでもよくて、そんなふたりを冷めた目で見ている人を推していたからだ!
「なっ! エミリアを嫌う人間など、人間ではない!」
「……洗脳でもされているのですか?」
エミリアを嫌う人間がいるはずないって、どういう発想? 怖い。
……小説の中の強制力ってやつなのかな?
呆れたような言い方をしてしまった。……いや、実際呆れてはいるのだけど。
「貴様! エミリアをいじめていたのか!」
「いじめ? 忠告しただけですわよ。殿下はご存知ないかもしれませんが、エミリアさまは婚約者のいる異性だけを狙って、アプローチしていたのですから」
ばっとグレアム殿下がエミリアに顔を向ける。彼女はますます顔を青ざめさせた。
エミリアに声をかけられた男性の婚約者たちが、わたくしの近くに集まってきた。それに気付いて、エミリアはむっとしたように唇を尖らせる。
「まぁ、中にはそんなエミリアさまを嫌う男性もいらっしゃるようですが……」
ぽそりとつぶやく。前世でどうしてこの恋愛小説を読んでいたのか――自分の気持ち優先なヒロインとヒーローは正直どうでもよくて、そんなふたりを冷めた目で見ている人を推していたからだ!
「なっ! エミリアを嫌う人間など、人間ではない!」
「……洗脳でもされているのですか?」
エミリアを嫌う人間がいるはずないって、どういう発想? 怖い。
……小説の中の強制力ってやつなのかな?