別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「凌空のこと、ご両親には話しているんだよね?」

「ああ」

 実はこの質問はすでに何度もしていた。

 パイロットの資格取得のため、綾人が外国訓練に行く前に私たちは別れた。その後妊娠が発覚したものの外国で訓練を受けている綾人に連絡もできず、なにより別れたのだからと私はひとりで出産を決意。

 凌空をシングルマザーで育てている際に、副操縦士となった綾人と再会し、お互いに想いを確かめ合って結婚する流れになった――。

 これが綾人が両親に話している内容だ。 中らずといえども遠からず。

「凌空を、悪く思われないといいな」

 きっとご両親は、お互いの想いよりも子どものために結婚するんだって思うだろう。

「心配しなくてもいい」

 信号で止まったタイミングで綾人がこちらに顔を向ける。

「ふたりとも可南子と凌空に会えるのを楽しみにしているよ」

 ここまで来ると綾人を信じるしかない。それに、先に彼が私の両親へ挨拶に来てくれたのだから、今度は私が頑張らないと。

 両親に綾人の存在を伝えた時、私が結婚することよりも相手が凌空の父親だという事実に驚いていた。

 店の定休日と今月の綾人の休みが重なっておらず、挨拶は来月でもいいんじゃないかと私は言ったが、綾人は極力早い方がいいと納得しなかった。そこでこの前の店の定休日に、仕事を終えた綾人がやってくることになったのだ。
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