別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
『……また三人で ご飯食べに来てもいい?』

 私も仕事があり、ふたりも店があるので頻繁ではないかもしれないが、結婚してもたまには実家に顔を出してもいいだろうか。そんな気持ちで尋ねた。

『じいじ、ばあばのごはん、たべる!』

 凌空が元気に手を上げて答えたので、その場にいる全員、思わず笑顔になる。

『もちろんよ。いつでもいらっしゃい』

 綾人が両親に再度挨拶し、三人で実家を後にした。

 ぼんやりと私の両親に会った時のことを思い出し、口を開く。

「綾人は、私の両親に会う時緊張した?」

「したよ」

 独り言に近かった発言にすぐに返事がある。

「正直、殴られるのも覚悟していた」

「な、なんで!? 殴るわけないでしょ!」

 うちの父は頑固なところはあるが、どちらかというと温厚な方だ。私の反応に綾人は苦笑する。

「大事な娘さんを妊娠させておきながら、何年も知らん顔していたわけだからな。それを今になって結婚したいって言ってくるなんて、ご両親としても俺にもっと言いたいことがあったんじゃないかって」

「そんなことないよ。私が綾人に連絡しないって決めたんだし、凌空を生んで育てるのだって勝手に……」

 どちらかというとシングルマザーになる私を、大林さんとの一件があったから両親は自分たちのせいじゃないかと自身を責めていた節がある。

 もちろん両親は関係ない。心配をものすごくかけたし、相手に妊娠を伝えないことや凌空を出産することに対する私の意思を何度も確認された。

 けれど譲らない私を、最後はできるだけ支えていくからと尊重してくれた。
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