別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「それにしても本当によかったわね、綾人。婚約がダメになったって聞いた時は、こんな調子で海外に行って大丈夫かしらって心配したけれど、なんとか副操縦士にもなれて、こうして可南子さんと結婚もできて」
ひと安心したという面持ちの美奈子さんに対し、私は顔を強張らせた。
婚約ってもしかして川嶋さんとの? やっぱり綾人は彼女と……。
「仕事とはいえ、二年も待つなんてなかなかできないわよね? 綾人、もともとまめな性格でもないし、忙しかったみたいだから」
「え?」
ところが同意を求められるように続けられ、とっさに意味がわからなかった。戸惑った私を不思議に思ったのか、綾人のお母さんが苦笑して説明する。
「綾人ね、ちょうど海外訓練に行く前の十二月頃かしら? ヨーロッパに行っていた夫が帰国したタイミングで帰省してね、付き合っている彼女と結婚を考えていて婚約したいって言ってきたの」
まったく知らなかった情報に驚きが隠せない。綾人の方に視線を向けると彼は照れも入っているのか、気まずそうに目を逸らした。
「可南子さんが不安になるのもわかるわ。二年は長いわよ」
「正確には二十カ月だ」
ぶっきらぼうに綾人が訂正する。しかしお母さんは取り合わなかった。
「同じよ。帰国してからも訓練に忙しくて、副操縦士の資格を取るのにだいぶかかったじゃない」
なにか言いたそうな綾人だが、母親には敵わないと思ったのか、不満そうに押し黙る。やっぱりいくつになっても親にとって子どもは子どもなのか、綾人の息子としての一面を見てなんだかおかしくなる。
けれど、今はお母さんから聞かされた話だ。
ひと安心したという面持ちの美奈子さんに対し、私は顔を強張らせた。
婚約ってもしかして川嶋さんとの? やっぱり綾人は彼女と……。
「仕事とはいえ、二年も待つなんてなかなかできないわよね? 綾人、もともとまめな性格でもないし、忙しかったみたいだから」
「え?」
ところが同意を求められるように続けられ、とっさに意味がわからなかった。戸惑った私を不思議に思ったのか、綾人のお母さんが苦笑して説明する。
「綾人ね、ちょうど海外訓練に行く前の十二月頃かしら? ヨーロッパに行っていた夫が帰国したタイミングで帰省してね、付き合っている彼女と結婚を考えていて婚約したいって言ってきたの」
まったく知らなかった情報に驚きが隠せない。綾人の方に視線を向けると彼は照れも入っているのか、気まずそうに目を逸らした。
「可南子さんが不安になるのもわかるわ。二年は長いわよ」
「正確には二十カ月だ」
ぶっきらぼうに綾人が訂正する。しかしお母さんは取り合わなかった。
「同じよ。帰国してからも訓練に忙しくて、副操縦士の資格を取るのにだいぶかかったじゃない」
なにか言いたそうな綾人だが、母親には敵わないと思ったのか、不満そうに押し黙る。やっぱりいくつになっても親にとって子どもは子どもなのか、綾人の息子としての一面を見てなんだかおかしくなる。
けれど、今はお母さんから聞かされた話だ。