別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「ちょっと!」

「これなら、いいか?」

 まったくもってよくない。隣に座っていたのに、なぜか綾人と向き合う形で彼の膝の上に乗せられた。体勢的に私の方が、視線が高くなったが、これでは綾人が重い。行儀が悪いのは承知で、足をわずかに開いて彼にかかる体重を分散させようとしたら、さらに彼に抱き寄せられる。

「可南子があまりにもかわいいから」

 抗議の声をあげる前に唇を塞がれる。今度最初から舌が差し込まれ、容赦がない。翻弄されていると、彼の手が服越しに脇腹を撫でてきた。

「あっ……」

 驚きでキスを中断させると、首筋に唇を寄せられる。一瞬でぞくりと肌が震えた。

「もっと触れたいんだ」

「んっ」

 続けて綾人の手は胸元に伸ばされる。服越しとはいえ薄いブラウス一枚なので、思った以上に彼の手のひらの感触が伝わってきた。

「ダ、ダメ!」

 腕をどかそうと試みるもびくともせず、それどころか指先を動かして胸の形をなぞるように器用に触れていく。

「あ」

 その刺激に素直に反応してしまう自分が憎い。肌がぴりぴりして、確実に快感も与えられていく。綾人は満足そうな笑みを浮かべてから私の耳元に顔を近付けてきた。

「今日の髪も格好も、よく似合っている。かわいらしすぎて、眺めるだけじゃ我慢できない」

 そのまま耳に音を立てて口づけられ、つい身をよじった。続けて耳たぶを甘噛みされ、舌を添わされる。

「あっ……やっ」

 その間も綾人の手は私に触れ続け、巧みに彼の思惑に誘われていく。
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