別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
第五章 行き合いの空に揺れる心
 九月に入り、少し気温が落ち着くかと思ったが、その考えは甘かった。秋の気配などまったくなく、夏がまだまだ居座っている。

 保育園でのプールは八月でなくなってしまったが、水遊びを毎日してくるので凌空の着替えと洗濯の量がすごいことになっていた。

 平日の午後過ぎ、私と凌空は綾人に誘われ遊園地にやってきている。室内エリアの一角でシャッツィのおもちゃが遊べる体験型施設があり、遊園地のフリーパスとは別料金にもかかわらず大盛況なんだとか。

 関係者として遊園地の招待券をたくさんもらうらしく、綾人の勤務が午前中までだったのと私が午後半休を取れたタイミングでやってきた。

「おかあしゃん 、おとーさん。あっち!」

 舌足らずなところもあるが、だいぶ凌空ははっきりしゃべるようになった。初めてやってくる遊園地に目を輝かせ、いつもよりはしゃいでいる。

 平日の午後なので、そこまで混んでいないのが幸いだ。さらにはシャッツィのエリアは屋内なので冷房が効いていて涼しい。

 内装はヨーロッパの洋館をイメージし ているらしく、それでいて温かみのあるデザインだ。シャッツィのおもちゃとよく合っていて部屋ごとに置かれているおもちゃが異なり、過ごしやすい空間になっている。

 少し綾人の実家に似ている気がした。

 凌空はさっきから積み木とパズルを組み合わせた木のおもちゃに夢中で、自分なりに考えて高く積み上げようと頑張っている。それを綾人が隣で手助けしていた。
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