別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「凌空はもちろん、可南子との約束は守る。だから、可南子の希望とか望むことをこれからは教えてほしい。ひとつずつ叶えていくから」

 真剣な口調の綾人に、甘えるように頭を預けて彼に密着する。

「ありがとう。私も綾人の希望とか望むことがあったら言ってほしいな」

 にこやかに返すと、おでこをこつんと重ねられた。

「籍も入れたし、あとは早く一緒に住みたいんだ。奥さん」

 実はまだ私たちは一緒に住めていない。綾人がファミリータイプのマンションを契約してくれていつでも住めるようにはなって少しずつ荷物は運んでいるものの、生活拠点をはっきり移すまでには至っていない。

「明日の午後、よかったら綾人のマンションに行って荷造りとか掃除とか手伝うね」

「助かるよ」

 あまり荷物はないと言っている綾人だが、航空関係の本が大量にあり、そちらが手つかずらしい。資格関連の本や資料など、整理も必要そうだ。

 夕方になり、少し暑さが和らいで屋外のアトラクションにも足を向ける。とはいえ凌空が乗れるものはほとんど限られていた。

「ひこーき、のる!」

 飛行機型の乗り物がくるくると回って上下に移動するアトラクションを指差し、凌空は希望を口にしたが、これは保護者同伴でも三歳以上ではないと乗れないらしい。

「凌空、もう少し大きくなったらね」

「のーりーたーい!」

 少し疲れが出てきたのか、ぐずり出した凌空に冷や汗をかく。その時、綾人が凌空を抱き上げ肩車をした。視界が高くなった凌空は、目をぱちくりさせている。
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