別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「可南子」

 名前を呼ばれ綾人を見ると、ゆるやかに口づけられる。私も目を閉じて素直に受け入れた。

「んっ」

 数回唇を重ね合わせたら、すぐにキスは深いものになる。うっすらと唇を開くと、彼の舌が巧みに滑り込まされ、口内を刺激されていく。

 冷静に考えたら、こんなこと他の人とは絶対にできない。それなのにどうして、綾人だけはこんなに気持ちよくて、欲しくなるのか。

 応えるように舌を差し出すと、舌先で丁寧に舐め取られ、時折吸い上げられる。体がびくりと震え、視界が滲みそうだ。

 そんな私を落ち着かせるように綾人の手が私の頭を撫で、少しだけ安心する。綾人のこういった仕草ひとつで、私は彼への気持ちを募らせていくんだ。

「ん……ふっ」

 息が苦しいのに、求める気持ちも湧き起こる。ぴりぴりと痺れるのは舌だけではなく、さっきから体に電気のようななにかが走っていく。妙なもどかしさが溜まっていく一方で、どうしたらいいのかわからない。

 助けを求めて綾人に身を寄せると、背中に伸ばされていた綾人の手のひらが、カットソーの中に忍び込んできた。

「ん!?」

 思わず声を漏らしたが、すぐさま唇は塞がれる。彼の手は、カットソーの下の着ていたキャミソールの中に器用に滑り込み、直に肌を撫でていった。私よりも体温が高いのか、綾人の乾いた指先は異様に熱く感じる。

 ぎゅっと綾人のシャツを掴むと、名残惜しそうに唇は解放された。
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