別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「凌空、たしかぞう組だったよな」

「うん。部屋は一階の一番奥だから」

「了解」

 本当は玄関まで見送りたいが格好が格好なので、おとなしくベッドから彼を見送る。綾人が部屋を出ていき、私は大きくため息をついた。

 久しぶりに体を重ね、肌につけられた赤い痕と共に、甘い余韻があちこちに残っている。あんなに情熱的に何度も求められるとは、思わなかった。

 そんな中でも私への気遣いは欠かさないし、安心させる言葉をたくさんくれる。結局、私ばかりだ。

 私、綾人が望むようにちゃんと応えられたのかな?

 考えてもしょうがない。ひとまず服を着て、途中だった荷造りを再開させよう。

 この後の流れをシミュレーションし、行動に移した。

 そういえばガムテープがなかったんだ。

 段ボールに書籍類を詰め、大切なことを思い出す。綾人に中身を確認してもらってから封をしようと思っていたが、肝心のガムテープを切らしていたのだ。

 また今度でもいいのかもしれないけれど、封をしないと荷物を積み上げることができない。広いリビングとはいえ、いくつも段ボールが並んでいるのは邪魔だろう。

 凌空のお迎えのついでに、綾人に買ってきてもらおうかと思ったが、凌空を連れての買い物はガムテープひとつでも大変だ。

 こうなったら自分で買ってこよう。

 綾人と凌空が帰ってくるまでまだ時間があるし、どうせ必要なものだ。マンションのすぐ近くにコンビニがあったのを思い出す。
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