別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
 こうして寝つきはいいんだけど、今日も起きるだろうなぁ。

 寝息が規則正しくなったのを確認し、ベビーモニターをつけてそっと部屋を抜け出した。食洗器や乾燥機付き洗濯機など最新の家電のおかげで、家事の負担はだいぶ減った。これは本当にありがたい。

「凌空、寝たか?」

 リビングのソファには綾人が座っていて、ノートパソコンを触っていた。私がやってきたからか、綾人はパソコンを閉じた。

「うん。またすぐ起きるだろうけれど」

 邪魔してしまったかと焦ったが、そっと彼のそばに近付く。

「コーヒーでも淹れようか?」

「いいよ、それより少し話せないか?」

 綾人の提案に目を丸くし、私はおとなしく彼の隣に座った。するとさりげなく肩に腕を回され、抱き寄せられる。

「可南子、無理してないか?」

「どうしたの? してないよ」

 綾人の問いかけ反射的に答える。

「綾人こそ、大丈夫? 私たちと一緒で調子崩してない?」

「崩してないさ」

 心配で尋ねたが、彼は苦笑する。続けて彼の手がそっと私の頭の側面に伸びてきて、促されるままに私は綾人に頭を預ける。

「俺よりも可南子と凌空だよ。とくに凌空には、いろいろと変化が大きすぎるよな。今まで可南子とふたり暮らしだったのを、場所も変わって父親とはいえ俺も一緒に暮らしはじめて……」

「でも凌空、綾人がいて嬉しそうだよ」

 慰めでもなく事実だ。綾人が帰ってきた時に見せる笑顔も、一緒にいる時に楽しそうにしているのも、今の生活のおかげだ。
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