別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「莉愛、大丈夫?」

「うん。可南子、ごめんね。ありがとう。進藤くんもありがとう」

 彼を見る莉愛の目が一段と輝く。

「あのね、今日のお礼をしたいから、また連絡してもいい?」

 上目遣いに甘えた声。同性から見ても母性本能をくすぐるような可愛らしさが莉愛にある。

 彼女を送り届けるのを自分から申し出たくらいだし、進藤くんも少なからず莉愛に好意を持っているのかもしれない。

「お礼は必要ないよ。あと連絡をくれても、返せるかどうかわからないから先に言っておく」

 そう思っていたら、彼が紡いだ言葉は柔らかくも声や口調はあきらかな拒絶だった。莉愛は驚きで目を見開いているが、彼は笑みを浮かべたままだ。

「それじゃ」

 そのまま去っていく彼を莉愛と呆然と見つめていたら、不意に手首を掴まれる。

「行こうか」

 そこで我に返り、引かれるまま進藤くんと莉愛のアパートをあとにする。

 タクシーは待ってもらっていないので辺りは駐輪場を照らすライトの明かりくらいしかない。

「山口さんの家は? 送っていく」

「ここから近いから大丈夫!」

 さりげない彼の気遣いを私はつい拒否した。私の反応に進藤くんには目を丸くする。
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