別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
不思議な光景に目をぱちくりさせ、凌空と一緒にまじまじと窓の外を見つめる。
「いいわね、ぼく。お母さんとふたりで初めての飛行機?」
不意に隣に座っていた女性に声をかけられる。
「あ、はい」
正確には父親もこの飛行機に乗っている。乗客ではなくパイロットとしてだが。
飛行機に乗り込む際に、搭乗橋から少しだけ飛行機の前にある操縦席が見えた。綾人は機長となにか打ち合わせをしていて、右側に座っていた。操縦はしていなくても仕事をしている彼の姿にドキリとする。
『おとーしゃん』
抱っこされている凌空は搭乗橋からぶんぶんと腕を振って元気に合図するが、おそらく気付かないだろう。そう思っていたけれど、不意にこちらを向いた綾人が手を振ってくれた。
白い手袋をしているのでよく目立ち、さらには隣にいる機長も同じように返してくれたので、凌空は大喜びだ。
私は凌空を抱っこしていたので、視線を送るだけだったけれど、改めて綾人の操縦する飛行機に乗るのだと思うと、緊張より楽しみの方が増した。
その時アナウンスを知らせる音が鳴り、男性の声が聞こえてきた。
《ご搭乗の皆さま、おはようございます。操縦室より副操縦士の進藤がご挨拶申し上げます》
突然、綾人の名前と声に驚く。低くてよく通る彼の声は機械を通すと少しだけ硬く感じた。それを和らげるように彼の口調は丁寧で穏やかだ。
「いいわね、ぼく。お母さんとふたりで初めての飛行機?」
不意に隣に座っていた女性に声をかけられる。
「あ、はい」
正確には父親もこの飛行機に乗っている。乗客ではなくパイロットとしてだが。
飛行機に乗り込む際に、搭乗橋から少しだけ飛行機の前にある操縦席が見えた。綾人は機長となにか打ち合わせをしていて、右側に座っていた。操縦はしていなくても仕事をしている彼の姿にドキリとする。
『おとーしゃん』
抱っこされている凌空は搭乗橋からぶんぶんと腕を振って元気に合図するが、おそらく気付かないだろう。そう思っていたけれど、不意にこちらを向いた綾人が手を振ってくれた。
白い手袋をしているのでよく目立ち、さらには隣にいる機長も同じように返してくれたので、凌空は大喜びだ。
私は凌空を抱っこしていたので、視線を送るだけだったけれど、改めて綾人の操縦する飛行機に乗るのだと思うと、緊張より楽しみの方が増した。
その時アナウンスを知らせる音が鳴り、男性の声が聞こえてきた。
《ご搭乗の皆さま、おはようございます。操縦室より副操縦士の進藤がご挨拶申し上げます》
突然、綾人の名前と声に驚く。低くてよく通る彼の声は機械を通すと少しだけ硬く感じた。それを和らげるように彼の口調は丁寧で穏やかだ。