別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
 続けてお昼寝のためにパジャマに着替える際、凌空の体に発疹ができているのに気づき、念のため電話してきたと告げられる。

 またか、と思いつつ迎えにきてほしいということだろうと察し、電話にも関わらず頭を下げた。

「はい。わかりました。今職場なので、少し時間がかかりますが迎えに行きます。はい、すみません」

 電話を切って綾人に顔を向けた。

「ごめん。私、子どもを保育園に迎えに行かないと」

「大丈夫なのか?」

 心配そうに問いかけられ、笑顔をつくる。

「うん。なんかね、最近体温が上がったり興奮したりすると体に発疹がでちゃうんだ。病院で診てもらったら、風邪からくる蕁麻疹みたいなものだろうって。塗り薬はもらっているから」

 病気というわけではないみたいだが、汗を搔きやすい今の時期も原因なのか、たびたび発疹が出てこうして呼び出される事態が起こっている。

 熱がないなら保育園にいて欲しいのが本音だが、今はプール熱や手足口病も流行っている。なにより、熱がなくても本調子ではないんだ。

 会社に連絡を入れてこのまま直帰し、仕事は持ち帰ることを伝えるとふたつ返事で許可をもらい、胸を撫で下ろす。今度こそ会計を済ませて店を出ようとしたら、伝票を先に取られる。

「可南子、電車だろ? 車だから保育園まで送るよ」

「え、いいよ」

 すぐさま断りを入れたものの綾人は意に介さず、先を歩きさっさと会計を済ませた。戸惑いながら店の外に出る綾人についていく。
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