別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
私は飛行機に乗ったことがない。正確には乗ろうと思ったこともないし、できるなら乗りたくないのが本音だ。高いところが苦手で、地に足がつかず空を飛ぶ感覚を想像しただけで震えてしまう。
けれど飛行機が大好きな凌空のためにも、姉夫婦の元に行くのを決めた。だから今日が初めてのフライトになる予定だったのだ。
姉に電話するため凌空を下ろす。数コールして留守番電話に切り替わり、伝言を入れようとしたときだった。
「あー。あれ、なに?」
「凌空!」
なにを見つけたのか、凌空が声をあげて走り出したのだ。スマホを耳から離し、彼を追いかける。そして勢い余って止まれなかった凌空は、誰かの足にぶつかって尻もちをついた。
「凌空! す、すみません」
泣きはしないが驚いて目をぱちくりさせている凌空を視界に捉え、ぶつかった相手に慌てて頭を下げた。凌空を立たせようとしゃがむ。
「可南子?」
ところが返ってきた言葉にドキリと心臓が跳ね上がり、空耳を疑う。だって、そんなはずない。
信じられないままに口の中が一気に乾き、伝わる空気に硬直する。でも、いつまでもこうしているわけにはいかない。時間にすると数秒だが、思い巡らせ頭を上げる。
「綾人」
夢でも幻でもない。
半袖のシャツに航空会社のロゴ入りのネクタイ、そして三本線入りの肩章。初めて見る彼の姿だが、この制服は彼の今の立場をはっきりと表している。
けれど飛行機が大好きな凌空のためにも、姉夫婦の元に行くのを決めた。だから今日が初めてのフライトになる予定だったのだ。
姉に電話するため凌空を下ろす。数コールして留守番電話に切り替わり、伝言を入れようとしたときだった。
「あー。あれ、なに?」
「凌空!」
なにを見つけたのか、凌空が声をあげて走り出したのだ。スマホを耳から離し、彼を追いかける。そして勢い余って止まれなかった凌空は、誰かの足にぶつかって尻もちをついた。
「凌空! す、すみません」
泣きはしないが驚いて目をぱちくりさせている凌空を視界に捉え、ぶつかった相手に慌てて頭を下げた。凌空を立たせようとしゃがむ。
「可南子?」
ところが返ってきた言葉にドキリと心臓が跳ね上がり、空耳を疑う。だって、そんなはずない。
信じられないままに口の中が一気に乾き、伝わる空気に硬直する。でも、いつまでもこうしているわけにはいかない。時間にすると数秒だが、思い巡らせ頭を上げる。
「綾人」
夢でも幻でもない。
半袖のシャツに航空会社のロゴ入りのネクタイ、そして三本線入りの肩章。初めて見る彼の姿だが、この制服は彼の今の立場をはっきりと表している。