別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「でも」
「連絡先を消しているなら、また渡す」
私の反応を待たずに彼は胸ポケットからメモ帳のようなものを取り出すと、さっとペンを走らせる。
「ま、待って。私には会って話すことなんて、凌空!?」
きっぱりと断ろうとした瞬間、すぐそばで立っている凌空の足元に赤いシミを見つけた。
「ちーでた」
鼻血が出たのを泣かずに冷静に教えくれるのはありがたいが、こちらは慌てる。鞄から急いでティッシュを取り出そうしたら、綾人が自分のハンカチをそっと凌空の鼻に当てた。
「え、いいよ。大丈夫」
綺麗にプレスされているチェックのハンカチに、私は青ざめる。凌空は意外にもおとなしく受け入れていた。
「いいから。悪い、俺このあとブリーフィングがあるからもう行かないと」
そう告げる綾人と代わるように腰を屈め、凌空の鼻をハンカチで押さえる。立ち上がった彼から再度連絡先を書いたメモを渡され、私は渋々受け取った。この状況で拒否できるわけがない。
「止まらなかったら近くのスタッフに遠慮なく声をかけろよ」
「ありがとう」
もうほぼ止まっているだろう。最近はよく鼻血を出すが、心配するほどのことでもない。
「可南子」
そっとハンカチをのけようとしたら名前を呼ばれ、改めて綾人のほうを見る。
「会えてよかった。連絡、待ってる」
切なそうに言うと、彼は名残惜しそうに先を急いだ。黒の大きなトランクを引っ張っていく姿はドラマでもよく見る光景だ。本当に綾人はパイロットになったんだ。
「連絡先を消しているなら、また渡す」
私の反応を待たずに彼は胸ポケットからメモ帳のようなものを取り出すと、さっとペンを走らせる。
「ま、待って。私には会って話すことなんて、凌空!?」
きっぱりと断ろうとした瞬間、すぐそばで立っている凌空の足元に赤いシミを見つけた。
「ちーでた」
鼻血が出たのを泣かずに冷静に教えくれるのはありがたいが、こちらは慌てる。鞄から急いでティッシュを取り出そうしたら、綾人が自分のハンカチをそっと凌空の鼻に当てた。
「え、いいよ。大丈夫」
綺麗にプレスされているチェックのハンカチに、私は青ざめる。凌空は意外にもおとなしく受け入れていた。
「いいから。悪い、俺このあとブリーフィングがあるからもう行かないと」
そう告げる綾人と代わるように腰を屈め、凌空の鼻をハンカチで押さえる。立ち上がった彼から再度連絡先を書いたメモを渡され、私は渋々受け取った。この状況で拒否できるわけがない。
「止まらなかったら近くのスタッフに遠慮なく声をかけろよ」
「ありがとう」
もうほぼ止まっているだろう。最近はよく鼻血を出すが、心配するほどのことでもない。
「可南子」
そっとハンカチをのけようとしたら名前を呼ばれ、改めて綾人のほうを見る。
「会えてよかった。連絡、待ってる」
切なそうに言うと、彼は名残惜しそうに先を急いだ。黒の大きなトランクを引っ張っていく姿はドラマでもよく見る光景だ。本当に綾人はパイロットになったんだ。