別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません

「勝手に思い込んでいて、ごめんなさい」

　川嶋さんや大林さんのような人たちを見てきて、綾人のご両親も同じような人たちだと思っていた。 でも、綾人を育てた両親なのだ。よく考えたらそうじゃないとわかるはずだったのに。

「謝らなくていい。そういう実家の話を可南子に全然しなかった俺が悪かったんだ」

　否定しようとしたら、綾人が「それから」と続けた。

「別れた時の件を気にしていて俺との結婚を承諾できないってことなら 、可南子の気持ち自体は俺にあるんだって自惚れてもいいのか？」

　わずかに余裕のある 言い方の綾人に対し、一瞬で顔が熱くなる。

　どう伝えたらいいのか。綾人の視線は静かに私の言葉を待っていた。

「うん。私も綾人が忘れられなかった。勝手なのはわかっているけれど、他の人と結婚するってなっても、綾人が忘れられなくて……。忘れなきゃいけないってずっと思っていたのに、できなかったの」

　最後は涙があふれそうになって声にならない。すると綾人は私の頬にそっと触れてきた。

「あの時別れたのは、可南子のせいじゃなくて俺の至らなさが原因だったんだ。だからもう一度、俺にチャンスを与えてほしい。今度は不安にさせない。誰よりも愛してしっかり捕まえておくから」

　そこでひと呼吸間を置き、綾人はしっかり私の目を見つめた。

「俺と結婚してくれないか？」

　別れを決意した時、こんな未来が訪れるとは思わなかった。