別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません

　綾人からのプロポーズを受け、その日は疲れているだろうからという理由で、次に会った時に、綾人とふたりで凌空に父親について伝えた。

『あのね、凌空。ずっと言えなかったけれど、綾人が――彼が凌空のお父さんなの』

　目線を合わせ、回りくどい言い方はせず話そうと意識したものの凌空の反応に緊張していた。凌空はゆっくりと私の隣にいる綾人に視線を送る。

『おとうしゃん？』

　不思議そうに見るめてくる凌空に対し、綾人は微笑みかけた。

『そうだよ。凌空のお父さんなんだ。これからはずっと一緒にいるよ』

　綾人の言葉に、凌空の顔がぱっと明るくなる。

『いっしょ！　りく、おとうしゃんん、すき！』

　そう言って嬉しそうにそばに寄った凌空、を綾人は抱き上げた。

『おとうしゃん、ひこーき』

『そうだな。今度は飛行機に乗ろうな』

　凌空が言いたかったのは、おそらく私が凌空のお父さんはパイロットで飛行機に乗っていると伝えていたのを受けてなのだろう。

　これまで何度か会っていたのもあるが、元々綾人に懐いていたのもあり、凌空は想像以上にあっさりと綾人を父親として受け入れた。

　よかった。凌空が綾人の――父親の存在を喜んでいてくれて。心配事がひとつなくなったのと同時に、次の関門が待っている。