君に恋をして
訳がわからなくてただあたしは

呆然と立ち尽くし、静かに涙を流していた。

「先生!ひかり先輩、ケガしてるんで、保健室に連れて行ってきますね」

そのあとのことは覚えていない。

ただ気がついたら、誰もいない保健室でうみ君に抱きついて泣いていた。

「あは、ごめんね、いきなり。ビックリしちゃったでしょ??
もう大丈夫だから」

「・・・うそつき」

「え・・」

「全然大丈夫ぢゃないくせに!!気づ付いてるくせに!なんで・・・なんで誰にも言わないんだよ・・・」

いつもの作り笑い。どうして君にはわかっちゃったのかな・・・??

だから、みんなを気づ付けてきちゃったのかな??

「だって・・・だって・・・本音なんて言っても、誰も幸せになれないぢゃない!!」

「それでも・・・誰かのためぢゃなく、自分のために泣けよ!言えよ・・・
もう、誰かのために涙なんて流さなくていんだ・・・」

その瞬間あたしの中で何かが切れた。

「うわぁ・・・ふぇ・・あぁぁ」

今まで声を出して泣いたことってあったっけ??

物ごころついたら、もう声を出して泣いてはいなかった。

でも、今・・・彼の前で泣き叫んでる自分がいる。

唯一、あたしを深い闇の中から救ってくれた彼がいる。

その彼の腕の中で、あたしは子供のように泣きじゃくっていた。
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