同僚に研究と彼氏を盗られて田舎で鉱物カフェしていたら出会った、溺愛とろあま御曹司
「その辺には転がってません!! これはオーストラリア産ですから、日本じゃ転がってないです! よく見てください、ここ! この積層しているところ! 見る方向が合うと虹色に光ります。これは母岩についたオパールなんです。大きくて研磨された、立派なジュエリーじゃないけど、こういう岩に煌めくものが混ざってるの、最高に粋だと思うから飾ってるんです!!」

息継ぎもせず、まくし立ててしまった。
北園さんはあっけにとられた顔をしている。

「それは……失礼しました」
「ここは、鉱物カフェなんです。猫カフェとかフクロウカフェとかは動物を愛でるカフェ、鉱物カフェは鉱物標本を見て愛でてもらうのを主目的にしたカフェなんです」

ふん、と腰に手をあて胸をはった。
生意気だと、接客態度もけなされておかしくない。
ならもうご来店いただかなくて結構。
取り繕いもせず挑戦的に目線を送ってやった。

「……なら、コーヒーは不味くても問題ないということか」

まだ言うか!
答えずにらめば、北園さんは残りのコーヒーを飲み干し、席を立つ。

「また、来ます」

また来るですって!?
彼の視線が外れてから、私は手を額に天井を仰いだ。

これ、御曹司の戯れってやつかもしんない。
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