同僚に研究と彼氏を盗られて田舎で鉱物カフェしていたら出会った、溺愛とろあま御曹司

あれから、北園さんは週一くらいの頻度でお店に通ってくるようになった。
 
「でね、ラリマーって海面の模様なんですよ。発見者の一人の娘さんと海の呼び名にちなんで名前がついたって。そういう形で石に名前を残すって、いいですよね、深い愛情を感じるなぁ」

うっとり語った私を、北園さんは物珍しそうに見つめてくる。
お店の方も、この二ヶ月近くでちょっとだけどお客さんが入る……ようになってきた。
なお資金が目減りするばかりなところは何も変わってない。

北園さんは、本当にこれでいいのかな?
もう彼は研究への勧誘を匂わせすらしなくなったし、いつも石のことを聞いてきて「帆夏さんは石の師匠だ」と笑いかけてくれる。
どうしよう、夢のように楽しい。

「帆夏さん」
「はい?」
「僕は石の発掘者じゃないから、新種の鉱物を見つけることはないだろう。でも、もし僕が鉱山で働く坑夫で、まだ名のない美しい宝石を見つけてたら、きっと帆夏さんの名前をつけたよ」
「き、北園さん!? あのそれ……」

つい今、石に名前を残すのは、深い愛がどうたら話したよね?
それでこれって、どういう? どういう……?
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