同僚に研究と彼氏を盗られて田舎で鉱物カフェしていたら出会った、溺愛とろあま御曹司
着たのは彩度が低い紫の袖なしワンピースに、レースとチュールでできたオフホワイトのビスチェ風トップス。
肩紐がくしゅくしゅとフリルになって、胸元にチュール生地の白バラが並ぶ。
バレリーナっぽさを取り入れた服で、着ていて可愛すぎる気がする。

「似合うよ、帆夏さん。もっとしっかりみたい、ほら近くへ」

第一声で似合うと褒められ、反論を封じられた私は北園さんの前へと進む。

「可愛すぎるデザインだから、恥ずかしいです……」
「帆夏さんはあどけない顔立ちで可愛いから、甘いデザインが合うよ。すごく綺麗だ、これに決定しよう」

北園さんから「着たまま出るから、他を合わせて整えて」と頼まれた店員さんに奥へ連れて行かれた。
服に合わせた靴やバッグを持たされて簡単に髪のアレンジまでされ、終えた頃には、北園さんはお店の出口近くに立っていた。
たぶん、お会計は済んでいる。
いくらしたんだろう。

「北園さん、私このぶん……」

言いかけた唇に、北園さんの長い人差し指が当たる。

「聞かないよ。帆夏さんが何を考えているか大体わかってる。プレゼントだから、このまま受け取って。返事はありがとう、これだけでいい」

金銭を気にさせたくないとスマートに示されて、私は勝てないなってぽつりと口をひらく。

「ありがとうございます」
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