同僚に研究と彼氏を盗られて田舎で鉱物カフェしていたら出会った、溺愛とろあま御曹司


映画館から出た頃には、陽の光はまろやかになっていた。

「面白い映画だったね」
「あ、はい。よかったです」
「少し早いけどこのあとは食事はどうかな」

お食事もするの……。デートだしね。北園さんってどんなご飯をたべるの?
すごくお高いお店だったら、それなのに緊張で味もわからないとかなったら悪いな。
もう帰っちゃダメかなあ。

弱気な私に、北園さんはにっこり微笑みかけてきた。

「ホテルレストランのビュッフェにしようと思うんだ。それなら好きなものを好きなだけでいいし、二時間っきりだ。終わっても日が沈んだくらい、夕のうちに帰してあげるからね」

警戒があるのを、悟られちゃっている?
「デートと言っているけど、変な心配はいらないよ」って安全性をアピールされているような。
ついつい、乗せられて北園さんの勧めに従ってるけど。
とても巧妙に思える、考えすぎかな。


北園さんのエスコートで来たのは有名ホテルの高層階にあるレストランだった。
御曹司だし、場違いなところに連れてかれちゃったらって怯えてたから、肩からちょっと力が抜ける。
北園さんと向かい合ってご飯、はドギマギするけど、限界が来たらビュッフェ選んできますって席を立てるし。
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