同僚に研究と彼氏を盗られて田舎で鉱物カフェしていたら出会った、溺愛とろあま御曹司
「北園さん、見てください。こんな素敵なお菓子があったんです!」

私はお皿ごとお菓子をずいっと北園さんに押し出した。
コロコロと転がって、半透明のカラフルな影がお皿の上で踊る。
アメジストやクリスタル、柱状やカッティングされた宝石に模したお菓子だ。

「へえ、石に見えるね」
琥珀糖(こはくとう)って書いてました。すごい! 宝石を食べる気分になれるんですよ!!」

さっそくひとつまみ。
透明から紫へグラデーションになっているアメジストっぽいものを齧ってみる。
わ、硬いのは1ミリもない表面だけで中はグミみたい。
ついてる香りの味がするように感じる。

「これ、紫芋……っぽい味がします。フルーツの味を想像してたから、まさか和風って……。あ、私また熱くなっちゃいましたね」

テンションが上がっていたところを、目を細めて見つめられてしまった。

「北園さんもどうぞ……」
「ありがとう。……ん、こっちはフルーツだよシトラスかな」
「色ごとに味が違うんだ! すごいすごい!」

ルビーはラズベリー味、 黄水晶(シトリン)はレモン味、アクアマリンは洋梨味。とりどりの欠片を、口にして、私たちは感想を言いあって。

「帆夏さん、これ君のお店のメニューに使えないかな」
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