悪女は果てない愛に抱かれる
真っ先に謝ろうと思っていたのに、そんな言葉が勝手にこぼれ落ちる。
「連絡もよこさないで出ていって既読もつけないし電話にも出ないし。どれだけ心配したと思ってるの……不安で不安で何も手につかなかったよ……っ」
『………』
「ねえ、ちゃんと聞いてるの……?」
『聞いてる。これでわかっただろ、オレが毎日どんな気持ちでお前のこと考えてるか』
はっと胸を突かれた。
『裏稼業やってる家なんかに生まれて。いつ正体バレて狙われてもおかしくねえのに黙って別の高校行くわ、すぐ連絡無視するわ。帰りが遅かったら何かあったんじゃないか……って、こっちは毎日毎日心配ばっかしてんだよ』
『……、……』
しばらく言葉が出なかった。