悪女は果てない愛に抱かれる
わたしが今までどれだけ安哉くんに守られてきたのか。
……ようやく思い知った。
──『泣くほど大事な相手なら、それをそのまま言えばいいんじゃねえの』
ふと、観月くんの言葉が頭をよぎる。
「いつも不安にさせて……ごめんなさい」
『うん』
「金曜日……安哉くんの言うこときくのウンザリとか、干渉しないでとか、ああ言ったのは本心だよ。でも、それだけじゃないから……。安哉くんのこと、本当に、大事だから」
『……うん』
「いつも気にかけてくれてありがと……ね」
『あー、もうわかったから。さっさと位置情報送れよ。迎えに行く』
照れ隠しなのか、若干早口でそう言いながら電話が切られた。
そして数分後、お馴染みのエンジン音が聞こえてきて、
一台のバイクがわたしの隣で停止する。
「よかった。安哉くんもバイクも無事で」
「ニヤついてないで乗れ。オレはまだ課題が終わってない」