悪女は果てない愛に抱かれる

その言葉に、あっと思い出した。



「っ、わたしも終わってない! 数学、安哉くんに聞こうと思って放置してた……っ」

「今日は教えてる暇ない。少しは自分で考えろ」


「ええ……でも安哉くんだってわたしがいないと英語の課題できないじゃん」

「……くそ、わかった。教えるからマジで早く乗れよ、時間ねえんだよ!!」



さっきまで泣きそうになりながら安哉くんの安否を心配してたのに。

今は、日曜の夜に課題が終わってないというピンチにふたりで焦って。


平和すぎて、バイクの後ろに跨りながら笑ってしまう。




「つーか……そのジャケット誰の」

「っ、……」



今はまだ、隠しごとも多いけど。



「あー……これお父さんの。寒かったから勝手に借りて羽織ってきたんだよね〜……」



いつか、ぜんぶ打ち明けられるといいな。

そう思いながら、安哉くんの腰にぎゅっと腕を回した。

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