悪女は果てない愛に抱かれる

「おー、それは本当によかったね」


翻訳機を使ったような日本語を言わせてしまい申し訳ない気持ちになる。



「遥世くんは……いつもとお変わりなく、だね」

「いやこう見えて今日は結構参ってる」


「参ってる?」

「昨日、組の上層部からの御達しで雑務に駆り出されてさー、結局徹夜でバカ寝不足」


「そ、そうだったんだ……お疲れ様……」



そういえば、昨日は観月くんも忙しそうにしていた。

スーツを着ていたし、連合だけじゃなく組織ぐるみの大きな会合でもあったのかもしれない。



「しかも朝方、観月が熱でぶっ倒れやがって、そのしわ寄せが僕に回ってきて。学校始まるまでになんとか終わらせたけどまーじで疲労〜困憊」


「……え?」


遥世くんの言葉を反芻して、いったん思考が停止する。



「今……なんて」

「うん? だから、朝方に観月が熱でぶっ倒れて──」

「ええっ!?」

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