悪女は果てない愛に抱かれる
観月くんが熱で倒れた……。
昨日の夜、あれが夢でなければわたしは観月くんに会った。
いつもとなんら変わらないように見えたけど、具合が悪かったの……?
……というか。
どう考えてもわたしにジャケットを貸したせいで悪化したんじゃ……。
「今井? どうしたの今度は顔が青い」
「ま、まさか……観月くんが熱で倒れていらっしゃったとは思わなくて……。昨日の夜、冷えたから……かな」
「あー。いや、なんか土曜からすでに具合悪かったっぽい。あいつ倒れるまで顔色ひとつ変わらんから、こっちも全然気づけないんだよなー」
「そ……うなんだ、へえ」
てことは、……てことは。
やっぱり、具合が悪かったにもかかわらず、わたしにジャケットを掛けてくれたんだ。
どうしよう。
わたしがあの場に現れたせいで……。
さっきまでの清々しい気持ちは一変。
罪悪感だけが募る。