悪女は果てない愛に抱かれる

熱で倒れたあとにひとり放置……。

たとえわたしが負い目を感じていなかったとしても心配すぎる案件である。



「わ、わかった。じゃあちょっと様子を見てから帰ります」

「助かるー、マジありがと。水とか食料とかそのへんは揃ってるはずだから必要だったら好きに使って」



それだけ言うと、遥世くんはそそくさと教室を出ていってしまった。


改めてまじまじとエントランスキーを見つめる。

罪悪感から引き受けてしまったけど……。



わたし、観月くんにもうここには来ない宣言しちゃったんだよね……。

ジャケットを返すでもなく現れたら、不審に思われないかな……。


でも、昨日のお礼も言いたいし。

なにより、体の健康にはかえられないよね……っ。

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