悪女は果てない愛に抱かれる
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午後7時30分。
旧橘通りの荘厳なビルの前にて。
扉の前で何度深呼吸をしたか、もう覚えていない。
人通りが少ないとはいえゼロではないから、あんまり扉の前でウロウロしていると不審がられるかも。
そう思って、最後に手のひらに“人”を3回書いて、ごくりと呑み込んだ。
左手には遥世くんから預かったエントランスキー。
右手には、コンビニで調達した栄養ドリンクやゼリーや薬やらエトセトラ。
水や食料は揃っているというハナシだったけれど、なるべく風邪に効きそうなものがいいと思って買ってきてしまった。
「それでは、お邪魔します……」
ピ、とカードをかざせば、重たそうな扉が音もなく開き。
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午後7時30分。
旧橘通りの荘厳なビルの前にて。
扉の前で何度深呼吸をしたか、もう覚えていない。
人通りが少ないとはいえゼロではないから、あんまり扉の前でウロウロしていると不審がられるかも。
そう思って、最後に手のひらに“人”を3回書いて、ごくりと呑み込んだ。
左手には遥世くんから預かったエントランスキー。
右手には、コンビニで調達した栄養ドリンクやゼリーや薬やらエトセトラ。
水や食料は揃っているというハナシだったけれど、なるべく風邪に効きそうなものがいいと思って買ってきてしまった。
「それでは、お邪魔します……」
ピ、とカードをかざせば、重たそうな扉が音もなく開き。