悪女は果てない愛に抱かれる
嵐のごとく胸の奥がざわめいた。
やっぱりこの人は危険だ。
熱で弱っているし、視線でがんじがらめにされることはないだろうと油断していたら
……この有様。
どきどきが全身を支配して思考回路すらぐちゃぐちゃにしていく。
「えぅ、だって……わたし部外者だし」
「悪いと思ってんでしょ。ならもっと俺に尽くして」
「尽く……す……? どう、やって……?」
尋ねたと同時に手を取られ。
体がバランスを崩した、と思ったときには観月くんの腕の中にいた。
普段は淡々としているくせに、こうやって不意に強引な一面を見せられると、どうしようもなくどきどきする。
熱っぽい視線を向けられると、息が詰まったように言葉が何も出てこなくなる。
この人の一挙一動に翻弄される自分が恥ずかしい。
でも、もう、どうにもならない。
思えば初めて会った瞬間から、わたしの心はすべて観月くんに奪われていた気がする。