悪女は果てない愛に抱かれる
今のは演技だから……と、自分に必死に言いきかせる。
言い訳をする隙もろくに与えてもらえず、唇が落ちてきて。
同時に、今までで一番甘い刺激が走った。
「〜〜ゃ、っ、ゃあ、〜〜っ、!」
思わず腰を引くけれど、すぐに掴んで引き戻される。
「お前、夜になるとずいぶん可愛いな」
「ひぁ、っ、待って……っ、んんっ」
「あー……こんなに感じやすいとは思わなかった」
「はぁっ……ぁ、っ」
キスをしながら攻められて、甘いのと気持ちいいのがいっぱい広がって。
思考がほとんど追いつかない。
でも、とても恥ずかしいことを言われている気がする。
なにか答えなくちゃと思うのに、息をするのが精一杯で……。
そんなとき、
「──……俺が初めてなんじゃなかったの」
急にトーンの落ちた声が耳元で響いて、ぞくりとしたものが背中を駆け抜ける。
どこか憂いを帯びた瞳に見つめられ、心臓がまた激しく揺れた。