悪女は果てない愛に抱かれる
はじめて……初めて、……って。
鈍い頭を必死に働かせる。
そういえばこの前、初めてだからわからない、というようなことを観月くんの前で口走った気がする。
初めてなんじゃないのかって……
当たり前に初めてだけど……あれ?
どうしてそんなことを聞くんだろう。
「観月く──、」
口を開きかけたとき、観月くんの目がとつぜん焦点を失ったように虚ろになったかと思えば。
体がぐらりと傾いて、こちらに倒れ込んできた。
「観月くん……? っ、観月くんっ!?」
熱で力が入らないのか、わたしの腕の中でぐったりとしたまま動かない。
自分の肌も火照っているせいで気づかなかったけれど、改めて触れるとすごい高熱だ。
どっ、どうしよう!
誰かに電話……。
でも、わたしが持っている連絡先はお父さんとお母さんと安哉くんのみ。