悪女は果てない愛に抱かれる
恋か、憧か


.



「ねえ、あゆ先輩ってさ、好きな人いる?」



それは、あれから2週間以上経った、お昼休み。

予告もなくわたしの教室に現れたルリちゃんと、向かい合ってご飯を食べていたときのこと。


とつぜんそんなことを尋ねられ。


「んん゛……っ」


びっくりした反動で、ご飯を胸に詰まらせてしまった。

ルリちゃんはいつも突拍子がないから恐ろしい。


加えて有名人なので、クラス中の視線を集めてしまっている。

この一年とちょっとで磨き上げた存在感の薄さがあっけなく無駄になった。


そして遥世くんは当然のように知らん顔である。



「わたしはいないけど……、てことは、ルリちゃんは好きな人いるの?」

「うーん……、なんか最近これって人がいなくて〜。強いて言うなら一番はあゆ先輩かな?」


「ええっ、ありがとう……あまりにも恐縮すぎるけど……」

「あゆ先輩ってホントいい女だよね〜」

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