悪女は果てない愛に抱かれる

洞察力に恐怖する。

さすが……伊達に橘通連合の幹部はやっていないみたい。



「ん〜〜そうだな、遥世くんとかどう?」

「は、遥世くん?」


どうしてここで遥世くんの名前が?

首を傾げるわたしに、ルリちゃんがそっと顔を寄せてきた。



「あたしが思うに、遥世くんてあゆ先輩に気があると思うんだよね」



そう耳打ちされ、しばし思考が停止しかける。

いくら考えても現実と結びつけるには難しかった。


橘通連合の本部にお邪魔したことをきっかけに話すようになったけれど、今までそんな素振りは全くなかった。


さっきまでルリちゃんの洞察力に感心してたけど……これだけはどう考えても違うと思う。



「どう考えても違うと思うよ」


思ったことをそのまま口に出す。


「いや、違くないと思う! だって遥世くん、けっこう前からクラスに気になる子いるって言ってたもん」

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