悪女は果てない愛に抱かれる

と思いつつ。

だけどそういえば、うちの組織は、ルリちゃんたちみたいに放課後みんなでわいわい楽しむようなことはない、……かも。


トップに安哉くんがいて、その下に幹部たちがいて、さらに各役職の人たちがいて。

みんな、仲間ではあっても友達ではない気がする。

ただ与えられた役目をこなすためにそのポジションに就いてる……という印象だ。




「遥世くんたちって、仲がいいよね」


気づけば、ぽつりと零れていた。



「そう見える?」

「うん。こうして放課後集まって、組織の業務?と関係ない時間を過ごすの……いいなあって」

「仲いいってほどでもないよ。みんな親が橘の組の執行役員ってだけ」



遥世くんはそう言いながらようやく鬱陶しそうにメガネを外して、前髪をかきあげる。



「まーでも僕たち家庭の事情で昔から交友関係が激狭だし、一緒にいる時間が長いって考えれば仲がいいとも言えるのかもな」

「十分言えるよ」

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