悪女は果てない愛に抱かれる

「……あ。交友関係激狭って言ったけど、楓くんは例外。あの人は女……いや、人にとにかく節操がない」

「まあ……想像はつくけど」


「寄ってくる男女ぜーいん一切拒まずだよ。博愛の観点から見れば尊敬に値するレベル」

「あはは……」



ルリちゃんもいい加減にしてほしいって言ってたっけ。

でもたしかに、誰も傷つけないという理由では、中途半端に人を選んで遊んでいるより潔くていい気もする……。


なんて思っていたら、本部の前に到着した。


ひとりのときはあんなに足取りが重かったのに、誰かと一緒だとすごく早く感じる。



「楓くんのフェロモンってやばいよな。年齢関係なくみんなのお兄さんだからさ、同級生なのに未だに君付けで呼んじゃうんだよね、まじでやめたい」

「あ〜わかる、みんなのお兄さんだよね。わたしも思ってた」


「色気で言ったら観月も相当だけど、あいつはそれ以上に人を寄せ付けないオーラがすごいから」

「っ……それも、わかる、よ。初めて会ったとき、石にされるかと思った」

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