悪女は果てない愛に抱かれる
「楓くん、お久しぶり……」
「あゆちゃん今日はほっぺたがほんのりピンク色だね。ふふ、可愛い〜」
「う……うぅ」
誰のせいだと……。
「ところでうちの妹はまた補習かな?」
「あ、うん。そうみたい」
「やれやれ。ホントいい加減にしてほしいよね〜」
ふう、と落とすため息すら色気を感じる。
ていうか。
ルリちゃんと楓くん、お互いにいい加減にしてほしいって言ってるのちょっと面白いし微笑ましいな……。
「とりあえず女の子は帰したし、もう入っても大丈夫だよ」
そう言われるので、のそのそといつもの部屋へ移動した。
「僕、紅茶入れてくる」
そう言って、遥世くんはキッチンのほうへ。
「わたし何か手伝おうか?」
「平気。楓くんとそっちで待ってて」
「わかった。ありがとう」
しばらくするとダージリンのいい香りがしてきた。