悪女は果てない愛に抱かれる

「えぇっ、ありがとう……?」


そんな風に思ってくれているなんて知らなかった。

再び頬に赤みが差すのを感じる。



「楓くんさ、人の好き嫌いが自分軸じゃなくて妹軸なのだいぶおかしいから気づいたほうがいーよ」



遥世くんはそう毒吐きながら紅茶を出してくれた。


「妹の好きなものは好きでありたいし、嫌いなものは嫌いでありたいんだよね〜。そういう意味ではバリバリ自分軸だよ〜」



言っていることはたしかに若干重いような気もするけれど……。

紅茶をすする姿が絵画のように優美なので、とりあえずヨシとする。



「ルリのことはさておき、観月がいない間に女連れ込むのだけはやめろね」


「え〜。ここが一番人目に付きにくくていいんだけどなあ」


「物知りな僕が教えてやる。いいか楓くん、世の中にはホテルというものがあってですね」

「はいはいごめんて〜。でも、観月くんだってオレたちがいない間ここで女の子抱いてるかもよ」

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