悪女は果てない愛に抱かれる
「いつから、気づいてたの……?」
「確信したのは今日の昼間。桜通り周辺を探らせていた奴からの報告と、今までのお前の言動を照らし合わせてわかった」
探られていたんだ……。
気づかなかった。
「けど、お前のことは初めから少なからず疑ってたよ」
「っ、そう、なんだ……。だから初めて会った日、“もう来るな”って言ったんだね」
「………」
「わたし、なんか怪しまれるようなこと言っちゃってた……かな」
「挙げればきりないけど、簡単に言えば、“こっち側”の環境に慣れすぎてんのが違和感だったな」
「……慣れすぎてる……?」
すぐには意味がわからなかった。
「お前、組織の話をしても基本“そうなんだ”って感じの反応だったし。一般人ならもっと興味もったり怖がったりする」
「……、そっか。わたしも、まだまだだね……」
「あと。普通の女子高生は、意識の有無を確かめるために真っ先に首元に手を当てたりしない」
そう言いながら、小さく笑う気配がした。
どう考えても今は笑うような状況じゃない。
きっとバカにされたんだと思う。
とはいえ、失態だった……。
ていうかあのとき、わたしが意識を確かめてるって気づいてたんだ……恥ずかしい。