悪女は果てない愛に抱かれる
「へえ。ココ、もうこんなになってたんだ」
「っ、〜っあ……、違……、さっきシャワー浴びたから……っ」
「シャワーのせいだけじゃないだろ」
「ひぁっ……や、っ、あぁ、ん!」
堪えきれない声に、羞恥で涙が滲む。
「声、甘……。可愛い」
「ぁ……だめ、んんっ……、」
なだめるように優しいキス。
どうして?
体と一緒に思考までぐちゃぐちゃにされる。
嫌いにさせてほしいのに。
「やっ……も、やんないで……っ」
これ以上好きになるのは……
「もうやだ、こわい……、っ、」
「やめるわけないだろ。お前なんか……」
ひどくしてほしい。
……嘘。
本当は、大事に大事に愛されたい。
「お前なんか、もう桜の家に帰れなくなるぐらい、傷つけばいいのに……──」
絶えず鳴り響く電話の音にも気づかず、
わたしはただひたすら観月くんの熱に溺れていた。