悪女は果てない愛に抱かれる
ああ、終わった。
わたしは今から酷い目に遭わされる。
そして観月くんたちに桜家の娘だとバレた以上、もう彼らと関わることは二度とない。
終わった……けれど、これでよかった。
抗争の最初の火種は摘むことができた。
事故を発端とする因縁はなくならないだろうけれど、これで少しの間は、無意味な傷つけ合いはなくなるはず……。
「ほら、大人しくしとけよ」
制服に手をかけられる。
わたしは黙って目を閉じる。
初めては観月くんにもらってもらえてよかったな……と、鈍い頭で考えながら。