悪女は果てない愛に抱かれる
まるで乙女ゲームみたいに、さっきから新たな出会いのイベントが発生しすぎている。
現に今、この部屋にいるわたし以外のメンツはみんな揃って華やかだ。
“ラグジュアリー”と、英語で表現したほうがよりしっくりくる。
「今井あゆあちゃんだっけ? ルリを助けてくれたみたいで、ありがとう〜」
まずは、ルリちゃんのお兄さんとおぼしき人に声を掛けられた。
たしか名前は……楓くん。
淡いブルーに染まった、ふわふわな髪。
耳元で控えめに光るジュエリーピアス。
にこーっと、とろけそうに甘い笑顔を向けられれば、ときめきよりも先に畏れがきた。
完璧すぎて怖い。
凶器にもなり得る美しさだ。
お顔がつよすぎるだけじゃない。
この世の女の子……いや、すべての老若男女を恋に落としそうな魅惑の色気。
とても常人に出せるオーラとは思えない!