悪女は果てない愛に抱かれる
この人、絶対スパイ向いてる。
ハニートラップで無双できるもん。
……なんて、余計な心の内が漏れてしまわないように、急いで笑顔をつくって会釈した。
「どうも、お邪魔してます。ええと、ルリちゃんのお兄様ですよね……?」
「そうそう、よろしくね。気軽に楓って呼んでもらえるとうれしいな〜」
「は、はい。じゃあ……楓さんとお呼びしますね」
「え〜堅苦しいなあ。敬語はとってもらえるとうれしいんだけど」
「うぅ、でも……」
言い淀んでいると、突然、隣にいたもうひとりの男の子が口を開いた。
「へーきだよ。こう見えて楓くん、僕たちと同い年だし」
“ハルセ”、と呼ばれていた彼だ。
至近距離で見上げると、やはり彼も美しかった。
“僕”という一人称にいい意味で不似合いな派手めのヘアセットも、いかついアクセサリーたちも、上品な顔立ちによく映えている。
改めて実感する。
“ミヅキ”と呼ばれていたあの人も含め、彼らは至高の高級品だ。
庶民は手を触れることすら許されないほどの。
──それはさておき。
「えっと……僕“たち”?」
「うん。今井サンと楓くんと僕、みんな高2。……あ、ついでに観月も一緒」
ハニートラップで無双できるもん。
……なんて、余計な心の内が漏れてしまわないように、急いで笑顔をつくって会釈した。
「どうも、お邪魔してます。ええと、ルリちゃんのお兄様ですよね……?」
「そうそう、よろしくね。気軽に楓って呼んでもらえるとうれしいな〜」
「は、はい。じゃあ……楓さんとお呼びしますね」
「え〜堅苦しいなあ。敬語はとってもらえるとうれしいんだけど」
「うぅ、でも……」
言い淀んでいると、突然、隣にいたもうひとりの男の子が口を開いた。
「へーきだよ。こう見えて楓くん、僕たちと同い年だし」
“ハルセ”、と呼ばれていた彼だ。
至近距離で見上げると、やはり彼も美しかった。
“僕”という一人称にいい意味で不似合いな派手めのヘアセットも、いかついアクセサリーたちも、上品な顔立ちによく映えている。
改めて実感する。
“ミヅキ”と呼ばれていたあの人も含め、彼らは至高の高級品だ。
庶民は手を触れることすら許されないほどの。
──それはさておき。
「えっと……僕“たち”?」
「うん。今井サンと楓くんと僕、みんな高2。……あ、ついでに観月も一緒」