悪女は果てない愛に抱かれる
で……………でた、ミヅキ!
これでもうわたしの聞き間違えの線は消失してしまった……っ。
あのメデューサみたいな男の子の名前はミヅキで間違いない!
ミヅキ、ノットイコール橘観月でありますように。どうかお願いしますお願いします。
とんでもない焦りと同時に、とある違和感がぽつんと生まれる。
……ていうか。このハルセって人……。
──『今井サンと楓くんと僕、みんな高2』
そう言ったけど。
わたし、高校2年生ですって自己紹介したっけ?
疑問符がぐるぐるぐるぐる脳天をめぐり、いよいよ頭のキャパが限界を迎えた。
「あの、ここはいったい、どういう方々の集まりなんですか……っ?」
思い切って最初のもやもやをぶつけてみる。
てん、てん、てん、としっかり3拍分の沈黙が訪れ、彼らの視線はゆっくりとわたしからルリちゃんへと移動した。
「ルリ。もしかして、なんの説明もナシにこの子を連れてきたの?」