悪女は果てない愛に抱かれる
先祖代々“裏社会(あっち)系”のお仕事をしている家に生まれて、早17年。


高校こそは平和な学園生活を送りたいと願い、安哉くんにナイショで別の高校を受験したところ、想定外の大目玉を食らった。

というのも、その高校は、古くからウチの家系と対立している組織の支配区域に建っていたからだ。


──わたしの祖先である《桜家》と、対立する《橘家》。

大昔、両家は血を血で洗う抗争を繰り返していたんだとか。


よって、現在もその因縁が続いているらしい。


昔の関係を延々と引きずるなんてナンセンス極まりない。
時代は令和なんだし、もっとこう、柔軟にいこうよ!

……と思うのだけど、組織の偉い人たちほど伝統だの形式だのに異常な執着を見せるので、わたしみたいな子供は口を閉ざすしかない。



ため息をひとつ落として、幹部様方のお気に入りスイーツが並ぶお店へと回れ右をする。

その矢先、再びスマホに通知が入った。


今度は通話の着信。
相手は、またしても安哉くん。
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