悪女は果てない愛に抱かれる

しまった。
そっか、高校生で会社経営してるって、珍しいことなんだ……っ。

安哉くんもお父さんの傘下の会社を引き継いで色々やってるから、つい……。



「うう、それが……驚いてまともに声も出なかった、の、わたしには異次元の世界すぎて」

「えーっそんなことある? へへ、やっぱあゆ先輩っておもしろ〜い、大好き!」



女の子から初めての“大好き”をもらって、不覚にもキュンときてしまった。


その直後。

──ヴーッ、ヴーッとスマホが鳴り、慌てて制服の上から抑える。

同時に、ハッと思い出した。


【 至急、本部に菓子 】

安哉くんにたのまれたおつかい、すっかり忘れてた!

これは催促の電話に違いない。
遅いってブチ切れてるんだ、どうしよう!



「今井、出なくていいの?」

と、遥世くん。


うん、と頷く。

スマホの通知画面の『安哉』という文字を見られたらイッカンのオワリ。


「あゆちゃん、もしかして彼氏?」

と、楓くん。


「ち、違うよっ、彼氏いたことないもん」
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